mamma mia project

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滋賀県甲賀市甲南町野川835
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pâtisserie MiA
Open / 11:00−17:00
Cafe / 12:00− (L.O. 16:30)
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先日と同じく、大学のレポートから。好きな言葉、嫌いな言葉というテーマで書いた文章です。 「ふつう」のスプーン 「ふつう」という言葉は以前は嫌いな言葉だったが、今ではとても好きな言葉の一つである。それにはあるきっかけがあった。  10~20代の頃は個性的であることに価値があり、進路などで人と違うことを考えがちな私に対して、母の「ふつうでいいのよ」というため息まじりの口癖が嫌でたまらなかった。木工の修行時代の師匠からは「どこにあっても川端が作ったものだと分かるものを作れ」と常に言われていた。つまり、その頃の私にとって「ふつう」とは無個性の象徴であり、その他大勢に埋もれてしまうことだった。  それが変わるきっかけとなったのは、息子が生まれる時に木で作ったベビースプーンだ。それまでの私なら、「こんな形ならまだ誰も作っていない」とか、「これが自分の特徴だからこの要素を盛り込んだ形にしたらカッコイイ」、ということからスタートしていただろう。しかし、その時はそれを商品にしようとは一切思わず、生まれてくる息子のためだけに作った。口の形や手の大きさを想像し、「すくうところは浅めにしたほうが食べやすいかな」とか、「握った時に気持ちいい形にしよう」とか、自分の感覚を頼りに、ただひたすらに丈夫で使いやすいものをと考えていた。そうして出来上がったスプーンは、取り立てて特徴のない「ふつう」のスプーンであった。  ただ、それはあくまで私にとっての「ふつう」であり、マーケティング調査のような大勢を対象にその傾向を調べたり、平均値を取った結果ではない。あえて自分の感覚を言葉にすれば、嫌みがなく、無心であり、心地よく、丈夫であり、愛おしく、使いやすいもの。良心や常識と言ってもいいかもしれない。自分の中にも「ふつう」があったのだと気づいた瞬間だった。  他と自分を比べていた頃には嫌いだったこの言葉も、自分にとっての「ふつう」で良いのだと会得してからは、好きな言葉に変わったのである。

先日と同じく、大学のレポートから。好きな言葉、嫌いな言葉というテーマで書いた文章です。 「ふつう」のスプーン 「ふつう」という言葉は以前は嫌いな言葉だったが、今ではとても好きな言葉の一つである。それにはあるきっかけがあった。  10~20代の頃は個性的であることに価値があり、進路などで人と違うことを考えがちな私に対して、母の「ふつうでいいのよ」というため息まじりの口癖が嫌でたまらなかった。木工の修行時代の師匠からは「どこにあっても川端が作ったものだと分かるものを作れ」と常に言われていた。つまり、その頃の私にとって「ふつう」とは無個性の象徴であり、その他大勢に埋もれてしまうことだった。  それが変わるきっかけとなったのは、息子が生まれる時に木で作ったベビースプーンだ。それまでの私なら、「こんな形ならまだ誰も作っていない」とか、「これが自分の特徴だからこの要素を盛り込んだ形にしたらカッコイイ」、ということからスタートしていただろう。しかし、その時はそれを商品にしようとは一切思わず、生まれてくる息子のためだけに作った。口の形や手の大きさを想像し、「すくうところは浅めにしたほうが食べやすいかな」とか、「握った時に気持ちいい形にしよう」とか、自分の感覚を頼りに、ただひたすらに丈夫で使いやすいものをと考えていた。そうして出来上がったスプーンは、取り立てて特徴のない「ふつう」のスプーンであった。  ただ、それはあくまで私にとっての「ふつう」であり、マーケティング調査のような大勢を対象にその傾向を調べたり、平均値を取った結果ではない。あえて自分の感覚を言葉にすれば、嫌みがなく、無心であり、心地よく、丈夫であり、愛おしく、使いやすいもの。良心や常識と言ってもいいかもしれない。自分の中にも「ふつう」があったのだと気づいた瞬間だった。  他と自分を比べていた頃には嫌いだったこの言葉も、自分にとっての「ふつう」で良いのだと会得してからは、好きな言葉に変わったのである。
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