ワークショップ

 僕は何があっても子どもの味方だ。実を言うと以前は子どもが苦手だった。走り回って騒ぐし、何を話していいかも分からない。子どものいる家に行っても、なるべく近づかないようにしていたくらいだ。それが自分に子どもができてから180°変わってしまった。どの子を見てもかわいくて仕方ない。騒いでいても「元気だなあ」と。もちろん息子には怒ることもしょっちゅうだけど、それも、何があっても味方でいようと思うからこそ思いっきり叱っているのだ。

まだ今は一方的に計画している段階だが、今度出版されるマンマミーアの本の収益を元手に、この本を作ったライターの平岡さん、大西カメラマン、そしてマンマミーアのみんなで、東日本大震災の現地に行って、被災した子ども達と一緒にワークショップを開きたいと考えている。

どんなワークショップをしようかと考えているとき、平岡さんが避難所や仮設住宅で使う共用のベンチを作ることを提案してくれて、「それだ!」と。モノを作るだけでなくて、コミュニケーションを生み出し、集える場所を作る。周りの友だちと一緒に苦労しながら作ったベンチに、自分達はもちろん、大人たちが腰掛ているところを見た時、どんなに誇らしい気持ちになるだろうか。

彼らが負った心の傷の深さは想像もできない。僕は直接その傷を癒してあげることはできないけれど、モノを作り上げた時の喜びや人の役に立ったという充実感なら、それは僕が毎日感じていることだから、少しは伝えられるかもしれない。そのことによって、彼らが前へ進んでいく手助けになってくれたら。

いや。ここまで書いて、それは「こうあって欲しい」という大人の都合だと気づいた。今は一緒に手を動かすことで、「僕らは何があっても君たちの味方で、いつも応援しているよ」ということだけは感じてもらえるように、それだけを思いながら準備をしよう。



戻る | 2011 10.14