アームチェア。
50歳を過ぎてから社会人大学院に通い、とうとうこの春、大学の先生になるという夢をかなえた女性がいる。僕はその人のことを心から尊敬している。この椅子はその方からの依頼でデザインした。
大学の先生はいつも考え事をしている。ロダンの"考える人"よろしく考えている時に、机に肘をついていたのでは様にならない。肘掛は必須だ。大学の先生は威厳もなければいけない。座ると背筋がピンと伸びるよう背もたれは配置されている。大学の先生といえども歳を重ねるごとに体力は落ちてくる。無駄な装飾を排し、構造はできるかぎり簡素にすることで、また座面をペーパーコード張りにすることで軽量に仕上げてある。
というようなわけで作った椅子。来週納品。気に入ってもらえると良いが、気難しいのも大学の先生であるので、果たして。
アームチェア
*後日談
納品後、その方からお電話をいただき、「朝まで仕事をしたけど、全然疲れなかった。途中、椅子に座っていることをわすれてしまうほどだった」と。
作り手としては、一番嬉しいお言葉いただきました。ありがとうございます。
これからますますお忙しい日々が続くと思いますが、どうぞご無理なさいませんよう、お体だけは大切に。
Takeo | 戻る | 2010 02.21