光の間
2013.04.10 Wed | posted by takeokawabata
朗読している岡安さんの声、ページをめくる音、和ろうそくの大西さんが芯を切る時のジュッという音。ろうそくによる光の間であったあの時間は、実は夢だったんじゃないだろうか。
立原道造の詩の朗読会のために大西さんが持ってきてくれた木の葉の燭台。「言の葉(ことのは)だから」と。
宙に漂う蝋燭の灯を縫うように。
このイベントのためにつくった燭台。木と銅でできた台座を番線が貫き、先をくるっと曲げて蝋燭を支える心棒を兼ねる。
高田竹弥さんの作品のテクスチャーがそこに織り込まれた時間と共に浮かび上がり、不思議と自分の中の遠い記憶とシンクロしていく。
立原道造の詩集と和蝋燭
実際の体感としては、もっと暗く、もっと美しかった。
ろうそくの芯を切ってまわる和蝋燭の大西さんの姿が、神話の世界にでてくる火の神様の使いに見えた。
富田恵子さんの銅版画。平面なはずなのに、なぜか立体的に浮かび上がってくる。
暗いけど明るい。
ハタノワタルさん作。和紙は蝋燭と対なのだと。
皆、静かに光の間を移動する。木の床のギシギシという音だけが響く。
井上陽子さんの作品には金属が効果的に使われていて、それが蝋燭の灯に照らされ、ゆらゆら浮かび上がる。
このたった一畳の空間がこんなになるなんて。元を作った僕の構想から、遥か遠くにいってしまった。